好き好き大好き超愛してる。

好き好き大好き超愛してる。 舞城王太郎著

『愛は祈りだ。僕は祈る。〜』から始まる本作。ものすごく蒼天を思い描いてしまうくらい、清々しいで出しだなぁなんて感じで読み始めました。けれども、そこはそれ。舞城であるから、僕は手足と節を持ったゾウ虫に似ているけれどもゾウ虫とは違う昆虫を、医師から見せられる。なんて流れになる。そしてその昆虫・ASMAは智依子の体の中に寄生している。という具合に急転、渦に放り込んでくれます。SF的幻想グロテスクバイオレンスエピソードが織り交ぜられたお話と交互に、恋人である柿緒を病で亡くした小説家の治が、愛の形、その意識的、無意識的な表出の形や、表されるもの、表さないもの、表れないものの中に表れるもの、を柿緒との記憶と、生きていて小説を書いている自分という過去含め現在の自分として、特別でないただ普通の日常の一つを意識されながら描かれています。かどうかは分からないけれども、私はそう思いました。何気ない日常の一つ一つの中で、注意の払われた度合い、個人のそれに傾ける比重で、付加される意味合いが変わってくるけれども、そのどれもの事柄が出来事としてのみ見るならば等価であるなんて事を言われると、幸も不幸も自分の心向き一つかななんて思えてきます。

治のストーリーの合間合間のお話も、一つ一つが面白くて、大変好みでした。『好き好き大好き超愛してる。』っていう一つの物語ではあるのだけれど、短篇集も一緒に読めたみたいな満足感があって、長編も読み応えがあるのだけれど、短篇も大いに好きな私としては何だか得したみたいな嬉しいようなそんな気持ちになりました。これまで読んだ舞城作品の中では一番好きかもしれない一冊です。シンプルに率直な感じで。舞城本ではミステリ要素が含まれていないものの方が、私には読みやすいし、好みなのかもしれないなとあらためて思いました。
ラブリーキュートなピンクい装丁の装画は舞城さん。中表紙の光沢もまた嬉しいです。けれどもこちらの文庫『好き好き大好き〜』は、単行本『好き好き大好き〜』に併録されていたものが収録されてはいないです。単行本の方は未読なのでそれがとても残念だけれど、未収録作ばんばん併せて短篇集になる時を楽しみにしています。今月末には最新刊もでるということ。

好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫 ま 49-6)

THEME:読んだ本。 - GENRE:本・雑誌

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