となりの姉妹

となりの姉妹 長野まゆみ著

となりの姉妹は古家屋に二人っきりで暮らしている。そうしてこの度二階を改築して間貸しにするのだそうだ。そんな隣のご事情をもたらしたのは、半年ほど姿をくらませていた兄だった。兄には妻も子供もいるけれど、いつもどこかへふらりと行ってしまう。そうして帰って来たかと思えば、何とも聞き手の困惑を無視した脈絡なさげな話を始める。お隣の改築の話だったかと思えば、鏡の供養の話へとすりかわる。昔は大層な潔癖で、神経質な少年であったのに、いつの間にやら風来者の兄は、町に古くからある酒屋《菊屋》の小母さんの葬儀を機に、めずらしくも頻繁に実家へ顔を出すようになった。そして《菊屋》の小母さんの残した、表書きと中身が違っている数々の品、どこにも合わない古鍵。その謎は、お隣の姉妹、逸子・咲也にも繋がっているようで、行き着く先を知っていそうな兄・立彦や、これもまた訳知り風のお隣の間借り人・初島さんから、寄せられる大まわりなヒントをもとに、佐保は、お隣の姉妹と謎を探してゆく。

どこに繋がっているのか?ととても先が気になりました。蛇が絡まるような石やら、鏡やら、次々とこの登場人物たちに関わりのあるのだろう物・事が出てきて、どんな編みこみ方で繋がるのか、そればかりが気になってしまいました。『となりの姉妹』とはいえ、活躍する殆どが、姉のイッコちゃんと佐保。そして兄の立彦です。登場人物の周りに揺蕩う謎は大いに楽しめました。が、長野さんの作品に、世界観というか空気感を求めて読んでしまうものですから、その辺は既読のものより少しばかり少なくて、そこだけは少し残念な気持ちでした。けれども、布や糸などの描写や、魅力的で是非とも口にしたいものだと思わせる食べ物の描写はもちろん織り込まれていて、そのあたりでうっとりとすることが出来ました。個人的にはイッコちゃんと立彦の阿吽の呼吸が感ぜられるような、そんなところがお気に入りでした。装画は鈴木貴子さん。中の頁いちまいいちまいにも、透かし模様が描かれています。

となりの姉妹

THEME:読んだ本。 - GENRE:本・雑誌

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