国語入試問題必勝法

国語入試問題必勝法 清水義範著

『猿蟹合戦とは何か』は、解説もされている丸谷才一さんの『忠臣蔵とは何か』のパスティーシュ作品ということですが、私はそちらは読んだ事が無いのだけれども、『猿蟹合戦とは何か』の方は楽しめました。
太宰治はなぜ猿蟹合戦を書かなかったのか?というところから始まるこのお話。それは桃太郎を書かなかった理由に似ているのか?いやそれだけではないだろう。むしろ忠臣蔵の精神に『猿蟹〜』は似ているのではないか?と進むべき道すじが見えても、あらゆる角度からものを見るのを忘れてはいけない。ということで、フロイトに準じてみると、どれもこれもが性的テーマに結びついてしまって、これは一面の真理程度に受け止めるのが無難だ。
というところで、ここで閑話。太宰が『猿蟹〜』を書かなかった理由考察も面白いのだけれど、この閑話がまた面白いのです。いいモノを大いに読むのは推奨するけれども、小学生に詩を書かせるのは如何なものか?というもので、それだけでも頷けてしまうのは、私が小学生の頃、詩を書く授業が嫌いだったせいかもしれません。しかもこの文庫の初刷発行年が、まだ私が小学生の頃なものだから、その頃からこんな事言ってくれてた人がいたのかぁと鱗が…。詩を読むのは大事なことと思うけれども、書くのは勘弁…と思っていた当時にこの本を知っていればなぁ、とは思いますが、だからと言ってどうにも出来なかったでしょう;この閑話中に、何とも微妙な詩が登場するのだけれど、それのタイトル当てで、当たると何気に嬉しかったです。そんな楽しみも詰まっている『猿蟹合戦とは何か』。

ポルノ小説を書いている佐伯は、元新聞記者・新美を中心とした老人四人のリレー小説を読むこととなった−という『人間の風景』は、何だか途中で妙にツボに嵌まってしまって、素人四人が書いたリレー小説の混迷っぷりが可笑しかったです。
温かい目で国語教育を揶揄ったような『国語入試問題必勝法』、ハートフルな『時代食堂の特別料理』、自尊心をしっかり持った老人が靄の中に沈みこむ過程を描いた切なさ残る『靄の中の終章』、ちょっと素敵な料理を教えてくれようというユーモアあふれる『ブガロンチョのルノワール風マルケロ酒煮』、あの長嶋の、《野球解説者長嶋茂雄》のみにスポットをあて様々なパターンにおける発言を考察する『いわゆるひとつのトータル的な長嶋節』など七篇の短篇集。
注・受験対策集ではございません/笑。

国語入試問題必勝法 (講談社文庫)

THEME:読んだ本。 - GENRE:本・雑誌

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2008/07/06(日) 18:04:43 | 「本のことども」by聖月
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