愛憎の檻

愛憎の檻 獄医立花登手控え三 藤沢周平著

『秋風の女/白い骨/みな殺し/片割れ/奈落のおあき/影法師』の六篇。
一話一話の事の顛末が、ものすごく気になる一冊でした。登と共にあれこれと思い巡らせながら読み進めることが出来ました。それに、(二)から気になっている登とおちえが、遣る瀬無い事件が起こる中に、ほわほわとした温かさを感じさせてくれました。小牧家での登の待遇が良くなっているのには、登でなくともにやけてしまいます。
女牢の名手であったおたつが居なくなっていたのに少し驚き、赦免なら喜ばしい事だとは思いつつ、作中での時の流れを感じました。平塚同心の登場回数が多く、そのフットワークの軽さと、いつも暇そうだなぁというところには苦笑してしまいます。今回は友人新谷と、見習い下っ引の直蔵が、名前しか出てこなかったのが残念でした。最終巻である次巻では、是非活躍する姿が見たいなと思いました。

新装版 愛憎の檻―獄医立花登手控え〈3〉 (講談社文庫)

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 風雪の檻

風雪の檻 獄医立花登手控え二 藤沢周平著

『老賊/幻の女/押し込み/化粧をする女/処刑の日』の五篇から。
シリーズ前作『春秋の檻』よりも、事件の背景としての人情面が、ほんわかとしていたものから少しきびしくなったような印象でした。けれども、『春秋の檻』の一篇『落葉降る』に登場したおしんのその後の様子を垣間見る事が出来たり、前作よりも登に対するおちえの様子が変わっていたりと、やっぱりほんわかとさせてくれる箇所があるので、何だか安心して読む事が出来ます。

『春秋の檻』の方では、それぞれの事件を描く各話を一続きにするものは、おちえの素行も一つとして描かれていましたが、今回『風雪の檻』の方ではそれが、登と同じ起倒流鴨居道場に通う友人新谷弥助となっています。道場に顔を見せなくなった新谷を、師範代である奥野も登も、どう過ごしているものか皆目見当が付かず心を煩わせます。幾つかの思わしくない噂を耳にし、ようやく新谷と顔を合せた時にも、しばらくほっておいてくれと言うばかり。いずれ酷い事にはならないだろうと思いつつ、大丈夫だろうか?と少し心配になりながら読み進めました。
これからの登とおちえのゆくえも楽しみなところです。

新装版 風雪の檻―獄医立花登手控え〈2〉 (講談社文庫)

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 春秋の檻

春秋の檻 獄医立花登手控え一 藤沢周平著

『雨上がり/善人長屋/女牢/返り花/風の道/落葉降る/牢破り』からなる時代連作集。
江戸小伝馬の牢獄に勤める医師立花登は、母より聞いて憧れでもあり、医師を目指す切欠でもあった叔父小牧玄庵を頼りに江戸へと来てみたけれど、叔父はうだつの上がらぬ医師なうえ、叔母と従妹は美人であるが驕慢で、まるきり下男のように扱われる日々。
半ば押し付けられた牢医師であったけれど、囚人達にまつわるきな臭い部分へと関わりをもっていく事となる。

登は起倒流柔術の使い手でもあるので、立回り場面が幾度もあるのだけれど、お話全体に緩やかな印象を受けました。それは登の人柄のせいもあるのだろうなと思います。罪に手を染めてしまった囚人の事情なども描かれていて、これは手を貸してやって欲しいと思うと、自然登を応援してしまいます。一話一話も良かったかれど、話を重ねるごとに動きが大きくなっていくようにも感じられて最終話まで読んだ時にすっきりとした読後感を得られて楽しめました。
全四冊なようなので、ちょこちょこ読んでいきたいなと思います。

新装版 春秋の檻―獄医立花登手控え〈1〉 (講談社文庫)

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