『瑠璃城』殺人事件

『瑠璃城』殺人事件 北山猛邦著

1989年日本。日本最北の地に建てられた『最果ての図書館』に君代は訪れていた。そこで生まれ変わりの話を持ち出す樹徒という男に声を掛けられる。生まれ変わり続け、殺し合い続けなければならない二人の側に必ず存在するという呪われた短剣。世界に6本あるというそれは『最果ての図書館』にも存在し、司書である霧冷達と共に確認に向かう。
1243年フランス『瑠璃城』。城主の娘マリィが信頼するレインを始めとする『マリィのための白の楯騎士団』が全滅した。彼らは時間的にありえない距離・状況下、城から離れた『十字の泉』で発見された。
1916年ドイツ×フランス前線・塹壕。激戦のなか塹壕内で首の無い死体が4対、少尉が目を離した隙に忽然と消える。

『クロック城』の世界設定は結構好みでしたが、こちらの『瑠璃城』の方が私としては楽しめました。それぞれの時代を描くバランスがすごく良くて、訪れるごとにその時代時代に馴染んでいけるような感じで読み進められました。時間を線では無く点と捉えるのにもとても共感出来たし、その上でスノウウィや『最果ての図書館』の場面から物語が始まった事なんかには大いに納得でした。次へ次へと引っ張っていく、時のバランスが絶妙でした。

「瑠璃城」殺人事件 (講談社文庫 き 53-2)

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 『クロック城』殺人事件

『クロック城』殺人事件 北山猛邦著

終わる事が運命付づけられた世界で、探偵を生業としている南深騎。その傍らにいつも存在する少女、志乃美菜美。二人のもとに訪れた黒鴣瑠華は、『クロック城』にひそむ幽霊〈スキップマン〉を退治して欲しいという依頼を持ち込む。深騎は、多くの人が幽霊と言う幻影、菜美の言うところの〈ゲシュタルトの欠片〉を見ることが出来、ボウガンで消し去る事が出来る。
依頼を受けたその夜、深騎の事務所は、SEEMの襲撃を受ける。SEEMとは、世界を守る事を目的に発足された団体で、目的意識は立派であるが、手段を選ばないテロリスト的な面ももっていた。SEEMの目的は、世界を終わらせる可能性がある存在〈真夜中の鍵〉を消すということで、〈真夜中の鍵〉候補として瑠華を探している。
〈真夜中の鍵〉を探しているのはSEEMばかりではなかった。SEEMをも凌ぐ組織十一人委員会。委員にはそれぞれクロスの名が与えられる。SEEMとは違い、十一人委員会は〈真夜中の鍵〉を世界を救う最後の鍵と捉え、保護する事を目的に探している。そして、彼らの一人、サード・クロスも『クロック城』に先客として滞在し、瑠華に深騎の事を教えた張本人でもあった。
訪れた『クロック城』は外壁に巨大な時計が3つ貼り付けてあった。それぞれの時計は、過去・現在・未来をあらわし、それぞれが別の時間を指し示す。真ん中の現在の時計だけが、正確な時間を指し示す。
壁に浮き上がる人面。何の為の実験室だったのか分からない地下の部屋。現在の館のホールを通らなければ、過去・未来それぞれの部屋に行き着く事は出来ないという城の構造。極端に窓の少ない城内。それらが、相次ぐ殺人の不可能性を確立する。という感じ。

物理的トリックについては、早い段階というか、城についた辺りで、こんな感じだろうなというのが、想像出来ます。なので、それについては、本当に最後の局面に明かされるのではなくて、もう少し早い段階で明かされます。解説で、有栖川有栖さんが大絶賛されていて、その要因の一つは最後の数ページにあるのだろうなと思います。僅かな間にがらりと変わる二つの視点は見事なものだなと思います。
読みやすいですし、おもしろく読めたと思います。
ただ、何となく話に乗り切れなかったのは何故なのか。というのをちょっと考えて見ると、その一つは主人公の深騎。深騎の年齢設定は27歳で、始まって数ページで年齢がはっきりと示されているにも関わらず、どうしても、もっと幼い、十代後半位の人物と思って読んでしまいました。ストーリーにはあまり関係がないのだけれど、気付くといつもそのイメージにすり変わっていて、自分の中で27歳の人物に軌道修正していた場面がありました。深騎のように、さめた目線でモノを見るような人であったら、捻ている他に、もう少し達観したような部分があったなら、私としては大人の男として認識しやすかっただろうなと思います。
菜美が〈ゲシュタルトの欠片〉になった時で、深騎の時間も止まってしまったのだという設定なのであれば、見事に嵌められている訳なのだろうな〜とは思うものの、その割には、菜美に対してどうしてまた現れたのかという事は考えてはいるものの、苦悩と言うほどには伝わってこなかった事もあって、結局のところ深騎の時間も菜美と共に止まっていたのかどうなのか、微妙なところとしてしか捉えられなかったような感じです。
それぞれの登場人物に、それぞれ特徴があるのだけれど、特徴があたえられてそのまんま…みたいな感じもするのだけれど、本格ミステリで、ミステリメインなのだし、重要視することろでは無いのかもとは思うけれど、最終的にあの形で終わるのであれば、せめて深騎と菜美くらいは、もっと掘り下げてもらえたら有難かったなとおもいます。

「クロック城」殺人事件 (講談社文庫 き 53-1)

THEME:読んだ本。 - GENRE:本・雑誌

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