ひとかげ
ひとかげ よしもとばなな著
『ひとかげ』が『とかげ』のリメイクだったとは…『はじめに』を読むまで気が付かなくて、同じの買っちゃったのか、気付こうよ自分…なんて思ったのだけれど、読み始めると、ベースは同じなんだけれども、やっぱり違っていて、それに『とかげ』自体も好きなお話だったから、読んでいるうちに『とかげ』の方は、どんなだったか?と思い始めちゃったりなんかして、読み終えたら引っ張り出そうかなんて思っていたら、しっかり併録されていました。
『はじめに』のところで、ばななさんが、主人公の職業意識の違いを挙げられていて、なるほど、一つの職業の物語というものではないから、以前のものでもまったく良いと私なんかは思うのだけれど、確かに、深く掘り下げられているところによって、主人公の『私』に、より気持ちを寄せて読むことができました。それから『はじめに』で色々語られていることに対してが、やっぱりリメイクにあたって描かれ方が変わっていて、なんというか、『とかげ』のほうは水底の薄暗い中を揺蕩うようだなぁなんて思うのに対して、『ひとかげ』の方では、少し浮上して水中から向こうの光が揺蕩うのを眺めるゆだなぁなんて思ったりしました。
ばななさんの『N・P』とかが好きなのだけれど、読み返したいような気に無性になりました。装画:原マスミさん。
『ひとかげ』が『とかげ』のリメイクだったとは…『はじめに』を読むまで気が付かなくて、同じの買っちゃったのか、気付こうよ自分…なんて思ったのだけれど、読み始めると、ベースは同じなんだけれども、やっぱり違っていて、それに『とかげ』自体も好きなお話だったから、読んでいるうちに『とかげ』の方は、どんなだったか?と思い始めちゃったりなんかして、読み終えたら引っ張り出そうかなんて思っていたら、しっかり併録されていました。
『はじめに』のところで、ばななさんが、主人公の職業意識の違いを挙げられていて、なるほど、一つの職業の物語というものではないから、以前のものでもまったく良いと私なんかは思うのだけれど、確かに、深く掘り下げられているところによって、主人公の『私』に、より気持ちを寄せて読むことができました。それから『はじめに』で色々語られていることに対してが、やっぱりリメイクにあたって描かれ方が変わっていて、なんというか、『とかげ』のほうは水底の薄暗い中を揺蕩うようだなぁなんて思うのに対して、『ひとかげ』の方では、少し浮上して水中から向こうの光が揺蕩うのを眺めるゆだなぁなんて思ったりしました。
ばななさんの『N・P』とかが好きなのだけれど、読み返したいような気に無性になりました。装画:原マスミさん。
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アルゼンチンババア
アルゼンチンババア よしもとばなな著
街はずれにある廃屋のようなビルに住むアルゼンチンババア。昔はアルゼンチンタンゴとスペイン語を教えていて、いつのまにやらそれもやめてしまって、少し頭がおかしくなって、自給自足の生活をしているのだろうとは皆が知るところで、そのうえ半分はアルゼンチン人なのではないか?という噂もあり、魔女のような鷲鼻をもち、いつもぼろぼろの服を着ている、兎に角街中の人が知っていて、けれどもそっとしておこうというところのアルゼンチンババアと、妻に先立たれてしまったみつこの父がどうやら付き合っているらしいという話を耳にして、みつこはアルゼンチンビルを訪れる。
何も捨てることなく、これまでの時を留めているようなアルゼンチンビルの中は、まるでアルゼンチンババアの中の様で、そこでは自分の過ごす場所とは違った、地に足をつけて過ごす為に必要な武装なんかが取り払われて、人前でも自然に涙を流せるそんな場所っていうのは素敵だなと思います。
この『アルゼンチンババア』の世界の中にも死は確かに添っているのだけれど、もの悲しさよりも、ほのぼの感を大いに味わって読み終えました。
街はずれにある廃屋のようなビルに住むアルゼンチンババア。昔はアルゼンチンタンゴとスペイン語を教えていて、いつのまにやらそれもやめてしまって、少し頭がおかしくなって、自給自足の生活をしているのだろうとは皆が知るところで、そのうえ半分はアルゼンチン人なのではないか?という噂もあり、魔女のような鷲鼻をもち、いつもぼろぼろの服を着ている、兎に角街中の人が知っていて、けれどもそっとしておこうというところのアルゼンチンババアと、妻に先立たれてしまったみつこの父がどうやら付き合っているらしいという話を耳にして、みつこはアルゼンチンビルを訪れる。
何も捨てることなく、これまでの時を留めているようなアルゼンチンビルの中は、まるでアルゼンチンババアの中の様で、そこでは自分の過ごす場所とは違った、地に足をつけて過ごす為に必要な武装なんかが取り払われて、人前でも自然に涙を流せるそんな場所っていうのは素敵だなと思います。
この『アルゼンチンババア』の世界の中にも死は確かに添っているのだけれど、もの悲しさよりも、ほのぼの感を大いに味わって読み終えました。
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ひな菊の人生
ひな菊の人生 吉本ばなな著
ひな菊は生まれついて父がいなく、母も幼い頃に亡くす。
引き取られたおばさん夫婦はとても良くしてくれて、けれども移り住んだおばさん夫婦の家に馴染みは覚えられなかったひな菊は、店の方で殆どを過ごしていたのだけれど、それでも家にいる時には、近所のダリアをたて笛の音色で呼び出した。
辛い時期を乗り越える助けとなっていたダリアとは十一歳の時に別れてから会っていなかった。それでもずっと年に一度くらいは彼女の夢を見ていたけれど、二十五歳になったひな菊は最近ダリアの夢を見ていないのだと気付く。
幼い頃から居候の心得を知っている。誰でも必ず死ぬということを心に備えている。特別驚く事も無くなったひな菊は自分の置かれている状況の有難味も知っています。
物分りが良すぎるように、どこか悟ってしまっているひな菊が、梅雨の雨や午後のどうにも縛られていると感じる時間を嫌う所や、高春になんとなく好感を持っている感じなんかが、生きて動いている側の人間、というひな菊をより感じさせてくれました。
吉本ばななは本当に大分ぶりに読んだのだけれど、ひっそりと死というものが傍らに感じられる所がやっぱり良いな〜と思いました。
ひな菊は生まれついて父がいなく、母も幼い頃に亡くす。
引き取られたおばさん夫婦はとても良くしてくれて、けれども移り住んだおばさん夫婦の家に馴染みは覚えられなかったひな菊は、店の方で殆どを過ごしていたのだけれど、それでも家にいる時には、近所のダリアをたて笛の音色で呼び出した。
辛い時期を乗り越える助けとなっていたダリアとは十一歳の時に別れてから会っていなかった。それでもずっと年に一度くらいは彼女の夢を見ていたけれど、二十五歳になったひな菊は最近ダリアの夢を見ていないのだと気付く。
幼い頃から居候の心得を知っている。誰でも必ず死ぬということを心に備えている。特別驚く事も無くなったひな菊は自分の置かれている状況の有難味も知っています。
物分りが良すぎるように、どこか悟ってしまっているひな菊が、梅雨の雨や午後のどうにも縛られていると感じる時間を嫌う所や、高春になんとなく好感を持っている感じなんかが、生きて動いている側の人間、というひな菊をより感じさせてくれました。
吉本ばななは本当に大分ぶりに読んだのだけれど、ひっそりと死というものが傍らに感じられる所がやっぱり良いな〜と思いました。
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