猫と針

猫と針 恩田陸著

恩田さんの初戯曲。
喪服を着込んだ男女五人。高校時代の仲間である彼らは、今日という日に喪服で集まることとなっていたけれど、何故集まったのかその理由。確かに集められた理由はある。理由はあるにせよ何故この五人がと、疑心暗鬼が渦巻く一室。ちょっと異質な同窓会じみた空間では、過去と現在の現実が語られる。

本編である『猫と針』は台本形式で載せられていて、こういうものを読む機会が少ない私にも楽しめました。ト書きが状況を説明してくれて、あとはセリフが、がぁ〜っとあって、勝手に映像的に想像出来る感じが面白いです。登場人物のそれぞれが後ろ暗い感じがまたよかった。それをどんどん吐露されている感じでした。それに喪服ですし。喪服とか制服とか正装風衣服とかって、一種の衣装のような感覚ってなんだかわかります。
あとがきである『『猫と針』日記』も楽しめました。

猫と針

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 図書室の海

図書室の海 恩田陸著

『春よ、こい/茶色の小壜/イサオ・オサリヴァンを捜して/睡蓮/ある映画の記憶/ピクニックの準備/国境の南/オデュッセイア/図書室の海/ノスタルジア』の十篇の短篇集。

『春よ、こい』での、時間の繰り返し、前世、来世ごちゃ混ぜのパラレル感が、桜が舞うようにゆるりと感じられるのが良かったです。
LURPと呼ばれるくせもの揃いの斥候部隊で、一種穏やかさを見出せるような異彩を持つイサオ・オサリヴァンの痕跡を追う『イサオ・オサリヴァンを捜して』では、イサヲ・オサリヴァンが何を解体しようとしていたのか、何故戦地に赴いたのかを、もっと読みたいなと思いました。
『睡蓮』は『麦の海に沈む果実』などに登場する水野理瀬の幼少時代のお話。これが気になっていて手に取ったものだから、大満足でした。特に、『黄昏の百合の骨』の人物描写に補完的だったなと思います。
『オデュッセイア』は童話なんかを読んでいるような気持ちで読み進められました。これの長編とかも読んでみたいという気になりました。
表題作『図書室の海』は、これは『六番目の小夜子』も是非読みたいと思わせられました。それを言ったら『夜のピクニック』も未読なので、そちらもちょっと気になりつつ、今回の短篇の中からいつか長編に変化して出てくるものもあるのかな〜と思うとそれも楽しみだなと思います。

図書室の海 (新潮文庫)

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 黄昏の百合の骨

黄昏の百合の骨 恩田陸著

祖母が残した『白百合荘』。近所では『魔女の家』と言われ気味悪がられているそこに、主人公である水野理瀬はやってくる。祖母が言い残した「自分が死んでも水野理瀬が半年以上すまない限り、家を壊してはいけない」という言葉通りに。『白百合荘』に滞在する、理瀬とは血のつながりの無い、祖母の娘姉妹は、この洋館に何かが隠されていると疑っている。隣の家に住んでいて、理瀬の友人となった朋子と、朋子の幼馴染の雅之。雅之の友人で朋子に好意を抱いている田丸くんの行動。朋子の弟である慎二から理瀬への忠告。死んだ猫。ジュピターの謎。そんな中での、理瀬の従兄弟である亘と稔の帰省は、より濃く人間関係と、謎を絡ませる。登場人物達は百合の香りに包みこまれ、読んでいる方も謎に包まれていきます。

謎を追っていくのは勿論、理瀬の少女時代との決別というのも読みどころだなぁと思いました。この主人公理瀬が登場するお話が好きで、『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』『青に捧げる悪夢』に収録の短編『水晶の夜、翡翠の朝』も読了しているのだけれど、まだ他にもあるようなので、そちらもとても気になります。とはいえ、この理瀬が登場する以外のお話も読んでみたいと思っています。章ごとのタイトルや、ラストの感じなんかが好みでした。

黄昏の百合の骨 (講談社文庫 お 83-5)

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