The Book−jojo's bizarre adventure 4th another day−
The Book−jojo's bizarre adventure 4th another day− 乙一著
昨年発売されてからずっと買おうか買うまいかと思い続けてやっぱり購入致しました。
何せジョジョを読んだ事が無かったものだから、読んでもついていけないのではないか…と思ってしまっていて、けれども原作未読の人もこの本だけでも楽しめるというような事を何度も見かけたし、装丁が何だか良いな〜と思っていたら購入してしまっていました。
読んでみると、確かにこの本だけでも楽しめる仕上がりになっていました。そして舞台である原作ジョジョの第4部の事も気になりますし、既読の人だとまた違った楽しみもあるのだろうなと思います。
原作ジョジョの世界観を見事に壊していないらしいのだけれど、その点について未読者である私は何とも分からないのですが、乙一らしいというのは間違いないなと思いました。
乙一作品の最後まで気が抜けない感と、何もかもが救われたりしない、救われたり救われなかったりする感のバランスが好きで、この本にもそれがあって、買って良かったなと読んでいて思いました。
記憶について、忘れる事が出来ない能力というものを持っていたら、きっと死んでしまいたいという気になる事が幾度も訪れるのだろうと想像します。
憶えたい事、憶えていたい事というのも人には沢山あるけれど、需要物だけではなく全ての視覚記憶が記録されていったなら、数日分でも頭がパンクしそうになってしまうだろうなと思うのだけれど、本書に登場する蓮見琢馬は人生の今までの記憶を全て持っています。
記憶は取り出して思い返す度に少なからず脚色されてしまうものだろうと思うのだけれど、琢馬の場合はそうはいかず、繰り返し何度も再生する事のできるそれは全く色あせることはありません。良い記憶ばかりではなく、悪い記憶の方も。
そんな琢馬と琢馬へと繋がる物語を充分に楽しめました。
昨年発売されてからずっと買おうか買うまいかと思い続けてやっぱり購入致しました。
何せジョジョを読んだ事が無かったものだから、読んでもついていけないのではないか…と思ってしまっていて、けれども原作未読の人もこの本だけでも楽しめるというような事を何度も見かけたし、装丁が何だか良いな〜と思っていたら購入してしまっていました。
読んでみると、確かにこの本だけでも楽しめる仕上がりになっていました。そして舞台である原作ジョジョの第4部の事も気になりますし、既読の人だとまた違った楽しみもあるのだろうなと思います。
原作ジョジョの世界観を見事に壊していないらしいのだけれど、その点について未読者である私は何とも分からないのですが、乙一らしいというのは間違いないなと思いました。
乙一作品の最後まで気が抜けない感と、何もかもが救われたりしない、救われたり救われなかったりする感のバランスが好きで、この本にもそれがあって、買って良かったなと読んでいて思いました。
記憶について、忘れる事が出来ない能力というものを持っていたら、きっと死んでしまいたいという気になる事が幾度も訪れるのだろうと想像します。
憶えたい事、憶えていたい事というのも人には沢山あるけれど、需要物だけではなく全ての視覚記憶が記録されていったなら、数日分でも頭がパンクしそうになってしまうだろうなと思うのだけれど、本書に登場する蓮見琢馬は人生の今までの記憶を全て持っています。
記憶は取り出して思い返す度に少なからず脚色されてしまうものだろうと思うのだけれど、琢馬の場合はそうはいかず、繰り返し何度も再生する事のできるそれは全く色あせることはありません。良い記憶ばかりではなく、悪い記憶の方も。
そんな琢馬と琢馬へと繋がる物語を充分に楽しめました。
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銃とチョコレート
銃とチョコレート 乙一著
かつて子供だったあなたと少年少女のための―という事で、大変年齢層が広範囲なミステリーランド第十回配本。ようやく購入。そして即読みです。二千円と、ちょっと高いけど、そんなの関係なしで。背表紙布張りですね。
主人公リンツの住む国では、怪盗GODIVAが富豪の家から盗みを働く。それを追うのは子供達のヒーロー、探偵ロイズ。家の胡椒瓶が無くなった事から、父と共に胡椒を買いに出かけたリンツは、店で移民だからという理由で買うことが出来ない。市場の外れの露天で、胡椒とそばに置いてあった聖書を父が買い、リンツに持っていろと渡す。それが、父の形見になってしまう。ある日、父の形見となった聖書から、怪盗GODIVAへと繋がりそうな手がかりを見つけ、リンツは探偵のロイズへ手紙を描く…
酷い事や不当な目に会っても、そればかりを掘り下げない。どんな形でも次の状況に流れるままに進んでいくというのが、乙一の本を読んでいるとよく思う事で、「どうしてこんなことに…!」とか、「こんなことがあって最高幸せ」みたいな感情を大げさに引きずっていかないよなと思います。その分スムーズに、ストーリーを追うことに集中できます。読み始めると続きを読まなくては気がすまない、そんな気にさせるストーリー展開です。
『銃とチョコレート』で良いなぁと思ったところは、狂犬のごときドゥバイヨルが、どんな形であれリンツを助ける事となって、それで普通なら、リンツとの触れ合いの中で彼の良い部分が最大限に引き出され…のように成りそげですが(特に少年少女にも向けられているのなら)、そうは成りません。勿論ドゥバイヨルにも良い部分のようなものもあるのだけれど、それで良い人に格上げされてしまったりはせず、ドゥバイヨルはドゥバイヨルみたいな感じです。格好良いはずのロイズにへたれた部分があって、でもヒーローなんだから、やっぱり最終的には格好良い…ともいかなくて、やっぱりへたれた部分はあり続ける。という様なところが良かったです。妙に冷静な目線で書かれているな〜というところなんかが、乙一の好きなところです。
挿絵も良かったです。『イノセンス』などで活躍されている方だそうです。初っ端の『CITY』なんかは、私的こんな所に住みたい世界上位に入ります。いいな〜と思います。工場の煙が多いようですけど…。それから、タイトルも好きです。チョコレート。登場人物達も、チョコレートに関する名前でふんだんに登場します。冬は新作チョコが沢山発売されて良い時期だなと思います。そして、ようやく読むことが出来て大満足です。それから新刊出ないかな〜と心待ちにしています。
かつて子供だったあなたと少年少女のための―という事で、大変年齢層が広範囲なミステリーランド第十回配本。ようやく購入。そして即読みです。二千円と、ちょっと高いけど、そんなの関係なしで。背表紙布張りですね。
主人公リンツの住む国では、怪盗GODIVAが富豪の家から盗みを働く。それを追うのは子供達のヒーロー、探偵ロイズ。家の胡椒瓶が無くなった事から、父と共に胡椒を買いに出かけたリンツは、店で移民だからという理由で買うことが出来ない。市場の外れの露天で、胡椒とそばに置いてあった聖書を父が買い、リンツに持っていろと渡す。それが、父の形見になってしまう。ある日、父の形見となった聖書から、怪盗GODIVAへと繋がりそうな手がかりを見つけ、リンツは探偵のロイズへ手紙を描く…
酷い事や不当な目に会っても、そればかりを掘り下げない。どんな形でも次の状況に流れるままに進んでいくというのが、乙一の本を読んでいるとよく思う事で、「どうしてこんなことに…!」とか、「こんなことがあって最高幸せ」みたいな感情を大げさに引きずっていかないよなと思います。その分スムーズに、ストーリーを追うことに集中できます。読み始めると続きを読まなくては気がすまない、そんな気にさせるストーリー展開です。
『銃とチョコレート』で良いなぁと思ったところは、狂犬のごときドゥバイヨルが、どんな形であれリンツを助ける事となって、それで普通なら、リンツとの触れ合いの中で彼の良い部分が最大限に引き出され…のように成りそげですが(特に少年少女にも向けられているのなら)、そうは成りません。勿論ドゥバイヨルにも良い部分のようなものもあるのだけれど、それで良い人に格上げされてしまったりはせず、ドゥバイヨルはドゥバイヨルみたいな感じです。格好良いはずのロイズにへたれた部分があって、でもヒーローなんだから、やっぱり最終的には格好良い…ともいかなくて、やっぱりへたれた部分はあり続ける。という様なところが良かったです。妙に冷静な目線で書かれているな〜というところなんかが、乙一の好きなところです。
挿絵も良かったです。『イノセンス』などで活躍されている方だそうです。初っ端の『CITY』なんかは、私的こんな所に住みたい世界上位に入ります。いいな〜と思います。工場の煙が多いようですけど…。それから、タイトルも好きです。チョコレート。登場人物達も、チョコレートに関する名前でふんだんに登場します。冬は新作チョコが沢山発売されて良い時期だなと思います。そして、ようやく読むことが出来て大満足です。それから新刊出ないかな〜と心待ちにしています。
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少年少女漂流記
少年少女漂流記 乙一×古屋兎丸著
乙一と古屋兎丸のコラボ本です。オビ部分『思春期から抜け出せていないすべての人に贈る、青春のバイブル』。なるほどなぁと。本編同様興味深く読ませてもらった巻末の著者二人の語りによれば、今現在少年少女思春期真っ只中の人たちにも勿論向けられているらしいです。
第一話『沈没記』だけは『小説すばる』掲載時に読んだ事があって、あれが2006年か〜早いなぁなんて思いながら読み始めました。第二話『アリのせかい』は昨今アリの微妙な襲撃に会っているという個人的な理由で、遠巻きに眺めてみたり…。第四話『学校の中枢』でも、ストーリーとは関係なしに、タイルの数数えた!意味無く黒いところだけ歩いた!なんて懐かしく思ったり。第五話『お菓子帝国』。これが一番健全というか、爽やかというか、光刺す的な感じでした。少しずつ散りばめられていた伏線が第七話『タイト様を見つけたら』で本格化し、第八話『竜巻の飼育の巻』へとなだれ込み、最終話『ホームルーム』へと繋がっていきます。大丈夫だよね?大丈夫だよ。という所へ至るまでには、時間だけではなくて、何か一人一人の切欠のような物が必要だよなぁと、しみじみ思いました。
そういえば、『失われる物語』
と『きみにしか聞こえない―CALLING YOU』
に収録されている『傷―KIZ/KIDS―』を原作に映画化されるそうで。ビジュアル的には大きく変わるようですが、あの話も良かったよなと思い返しました。
乙一と古屋兎丸のコラボ本です。オビ部分『思春期から抜け出せていないすべての人に贈る、青春のバイブル』。なるほどなぁと。本編同様興味深く読ませてもらった巻末の著者二人の語りによれば、今現在少年少女思春期真っ只中の人たちにも勿論向けられているらしいです。
第一話『沈没記』だけは『小説すばる』掲載時に読んだ事があって、あれが2006年か〜早いなぁなんて思いながら読み始めました。第二話『アリのせかい』は昨今アリの微妙な襲撃に会っているという個人的な理由で、遠巻きに眺めてみたり…。第四話『学校の中枢』でも、ストーリーとは関係なしに、タイルの数数えた!意味無く黒いところだけ歩いた!なんて懐かしく思ったり。第五話『お菓子帝国』。これが一番健全というか、爽やかというか、光刺す的な感じでした。少しずつ散りばめられていた伏線が第七話『タイト様を見つけたら』で本格化し、第八話『竜巻の飼育の巻』へとなだれ込み、最終話『ホームルーム』へと繋がっていきます。大丈夫だよね?大丈夫だよ。という所へ至るまでには、時間だけではなくて、何か一人一人の切欠のような物が必要だよなぁと、しみじみ思いました。
そういえば、『失われる物語』
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さみしさの周波数
さみしさの周波数 乙一著
『さみしさの周波数』って括りにするのに、ぴったりな短編4作品が収録。
『未来予報 あした、晴れればいい。』『手を握る泥棒の物語』『フィルムの中の少女』『失われた物語』なのだけれど、このうち『手を握る泥棒の物語』と『失われた物語』は『失われる物語』
にも収録されています。
『未来予報』は、恋というより愛のお話のような気がしました。恋としてでは、もどかしいと感じてしまう様な状態も、穏やかさとか、平坦な感じを受けるのは、人それぞれの、人との繋がりの一つの形からなんだろうなぁと。
『手を握る泥棒の物語』ってたしか、前に実写動画でネット配信されていた記憶がありますが、見てないんですよね;
『フィルムの中の少女』は、ホラーでお馴染みの、フィルムに映りこんだ少女の後ろ姿が、見るたびに少しずつこちらを向くというものなのだけど、ありがちに呪われたり、不幸が立て続けに起こったりはしません。乙一らしい、ちょっとした、かく乱作戦が見られます。
『失われた物語』は、本当に短いお話ながら、すばらしく完成されている印象で、ホロリときそうになりました。読むの2回目なのに…
スニーカー文庫って、こんなのも出すんだなと、印象が変わりました。とは言っても、乙一以外のものは読んだ事がないので、まるっきりのイメージだったのですが。全体的に、物悲しさが付きまとってくる感じです。そして、曇り空に閉じ込められたみたいな、分厚い雲に足をとられて身動き出来ない間に、物語に引きずりこまれているような感じでした。
あとがきで、当時乙一の体の1/3は菓子パンで出来ていたらしいのだけど、結婚もしたことだし、今は菓子パン生活も脱出できているんだろうな〜なんて思いました。
『さみしさの周波数』って括りにするのに、ぴったりな短編4作品が収録。
『未来予報 あした、晴れればいい。』『手を握る泥棒の物語』『フィルムの中の少女』『失われた物語』なのだけれど、このうち『手を握る泥棒の物語』と『失われた物語』は『失われる物語』
『未来予報』は、恋というより愛のお話のような気がしました。恋としてでは、もどかしいと感じてしまう様な状態も、穏やかさとか、平坦な感じを受けるのは、人それぞれの、人との繋がりの一つの形からなんだろうなぁと。
『手を握る泥棒の物語』ってたしか、前に実写動画でネット配信されていた記憶がありますが、見てないんですよね;
『フィルムの中の少女』は、ホラーでお馴染みの、フィルムに映りこんだ少女の後ろ姿が、見るたびに少しずつこちらを向くというものなのだけど、ありがちに呪われたり、不幸が立て続けに起こったりはしません。乙一らしい、ちょっとした、かく乱作戦が見られます。
『失われた物語』は、本当に短いお話ながら、すばらしく完成されている印象で、ホロリときそうになりました。読むの2回目なのに…
スニーカー文庫って、こんなのも出すんだなと、印象が変わりました。とは言っても、乙一以外のものは読んだ事がないので、まるっきりのイメージだったのですが。全体的に、物悲しさが付きまとってくる感じです。そして、曇り空に閉じ込められたみたいな、分厚い雲に足をとられて身動き出来ない間に、物語に引きずりこまれているような感じでした。
あとがきで、当時乙一の体の1/3は菓子パンで出来ていたらしいのだけど、結婚もしたことだし、今は菓子パン生活も脱出できているんだろうな〜なんて思いました。
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きみにしか聞こえない―CALLING YOU―
きみにしか聞こえない―CALLING YOU― 乙一著
『きみにしか聞こえない―CALLING YOU―』『傷―KIZ/KIDS』『華歌』の3篇からなる短編集。
表題作と『傷』は『失われる物語』
にも収録されていて既読済み。にも関わらず、出先にうっかり持って行ってしまったものだから、読んでいてうっかり泣きそうになった。
表題作の山場の山場にさしかかる一歩手前に、お呼びが掛かって中断できて、本当に良かったと思う。かなり、うるっときていた所でしたので。
というわけで、家以外で読む為の選択にしてはミスったわけです。外でボロボロ泣くほど肝が据わっていないので。
『Calling you』は、携帯電話を持たない女子高生が主人公。
人との付き合い方に不器用な人は、乙一作品にはよく登場するのだけれど、彼女もそう。
掛ける当ても、掛かってくる当てもないものだから、携帯を持たない彼女は、教室では一人で平気だという風を装いながらも、仲間同士が繋がっていられるような携帯電話に憧れを抱く。そんな彼女は、頭の中で携帯電話を思い描き、それは日増しに鮮明に存在感を持っていく。その想像だけの携帯電話に、ある日電話が掛かってくるというお話。
そして読んでて、うるっときちゃったわけです。
『傷』も好きなお話。普通の子供とは違うというレッテルを貼られて、特殊学級に入れられたオレと、同じ様に特殊学級にやってきたアサト。全く関わりを持たなかった二人は、ある時、オレが怪我をしたことで初めて言葉を交わし、その時、アサトの不思議な力に、二人ともが初めて気づき、そこから二人は急速に仲良くなる。
それぞれが置かれた環境の為に、子供として普通に与えられるべき安心や、幸せを受けることが出来ない二人。にも関わらず、真っ直ぐで、純粋な二人。
親や、数少ない信頼していた人に裏切られても、世の中そんなものさと思うオレと、どうしてだろうかと思い、自分のせいではないかとさえ感じるアサト。反応は違えど、二人のいる現実の重みを感じます。
傷って一言で言っても、色々あるということ。
『華歌』は鼻歌やら花と死やら、色々掛かったタイトルなんだろうな〜なんて思うのと、またやらかしてくれちゃって的な感想をもってもいいでしょうか。
『華歌』という字面から受ける美しい印象を表すかのような、ちょっと文学的な文体と、登場する景色たち。
あとがきで、羽住さんの描く花の絵が見たかったと著者が言っているのだけれど、そんな感じで、羽住さんの描く絵のような透明感を感じる作品。
いや、でも実際、そんな花が目の前にあったらどうなのさ、とちょっと思わないでもない。ホラーでしかないんじゃ…みたいな…
そういえば『きみにしか聞こえない』は、今映画上映中ではないでしょうか、たしか。
映画ではどんな感じになっているのか、ちょっと気になるところです。
『きみにしか聞こえない―CALLING YOU―』『傷―KIZ/KIDS』『華歌』の3篇からなる短編集。
表題作と『傷』は『失われる物語』
表題作の山場の山場にさしかかる一歩手前に、お呼びが掛かって中断できて、本当に良かったと思う。かなり、うるっときていた所でしたので。
というわけで、家以外で読む為の選択にしてはミスったわけです。外でボロボロ泣くほど肝が据わっていないので。
『Calling you』は、携帯電話を持たない女子高生が主人公。
人との付き合い方に不器用な人は、乙一作品にはよく登場するのだけれど、彼女もそう。
掛ける当ても、掛かってくる当てもないものだから、携帯を持たない彼女は、教室では一人で平気だという風を装いながらも、仲間同士が繋がっていられるような携帯電話に憧れを抱く。そんな彼女は、頭の中で携帯電話を思い描き、それは日増しに鮮明に存在感を持っていく。その想像だけの携帯電話に、ある日電話が掛かってくるというお話。
そして読んでて、うるっときちゃったわけです。
『傷』も好きなお話。普通の子供とは違うというレッテルを貼られて、特殊学級に入れられたオレと、同じ様に特殊学級にやってきたアサト。全く関わりを持たなかった二人は、ある時、オレが怪我をしたことで初めて言葉を交わし、その時、アサトの不思議な力に、二人ともが初めて気づき、そこから二人は急速に仲良くなる。
それぞれが置かれた環境の為に、子供として普通に与えられるべき安心や、幸せを受けることが出来ない二人。にも関わらず、真っ直ぐで、純粋な二人。
親や、数少ない信頼していた人に裏切られても、世の中そんなものさと思うオレと、どうしてだろうかと思い、自分のせいではないかとさえ感じるアサト。反応は違えど、二人のいる現実の重みを感じます。
傷って一言で言っても、色々あるということ。
『華歌』は鼻歌やら花と死やら、色々掛かったタイトルなんだろうな〜なんて思うのと、またやらかしてくれちゃって的な感想をもってもいいでしょうか。
『華歌』という字面から受ける美しい印象を表すかのような、ちょっと文学的な文体と、登場する景色たち。
あとがきで、羽住さんの描く花の絵が見たかったと著者が言っているのだけれど、そんな感じで、羽住さんの描く絵のような透明感を感じる作品。
いや、でも実際、そんな花が目の前にあったらどうなのさ、とちょっと思わないでもない。ホラーでしかないんじゃ…みたいな…
そういえば『きみにしか聞こえない』は、今映画上映中ではないでしょうか、たしか。
映画ではどんな感じになっているのか、ちょっと気になるところです。
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